ECCL通信

media

    HOME > ECCL通信 > 社会人インタビュー > Career Creation STORY #19:株式会社ナカムラ綜美 伊藤幸枝さん

Career Creation STORY #19:株式会社ナカムラ綜美 伊藤幸枝さん

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Career Creation STORY #19:株式会社ナカムラ綜美 伊藤幸枝さん

今回インタビューさせていただいたのは、株式会社ナカムラ綜美でフジテレビの番組セット制作のお仕事をされている伊藤幸枝(いとうゆきえ)さんです。
伊藤さんは接客業や美容室のアシスタントなど様々なお仕事を経験されて、その後株式会社ナカムラ綜美にアルバイトから入社し、現在は正社員としてアクリル装飾のお仕事に携わっていらっしゃいます。

CCS千葉さん.png

*アクリル装飾とは
床材をきれいに敷き詰めたり、アクリルの加工品を作って番組セットに取り付るなどして、セットをきらびやかに飾り付ける装飾のこと。

インタビューの際には、ナカムラ綜美でフジテレビの担当をしていらっしゃる部長の平山さんにも同席していただき、アクリル装飾の専門的なお話もお伺いしました。
平山さんにお答えいただいた箇所は(平山さん)と記載しております。


―目次―

思い立ったら行動することで長く続けられる仕事に出会う

—まず初めに、学生時代についてお伺いします。学生時代はどのように過ごされていましたか。
スポーツが好きで、中学高校ではバスケットボールをやっていました。卒業後は手に職を付けたくて美容師になろうと思い、美容室の見習いをしていました。しかし、美容室の仕事は向いていないと感じてその後はアルバイトで様々な接客業の仕事を経験しました。

—伊藤さんがナカムラ綜美に入社された理由について教えて下さい。
接客業のアルバイトをしていたのですが、テレビの裏方にも興味があり、求人を探したことがきっかけです。元からテレビの仕事に興味があったのというよりは接客業だけでやっていくのはもったいないと思っていました。そんな時にナカムラ綜美の求人を見つけてぜひ挑戦してみたいと思い、早速応募してみました。そこでご縁があり、最初はアルバイトとして入社しました。

—接客業のアルバイトをされていたのですね。これまでどのようなお仕事を経験されていたのですか?
接客業のアルバイトはファストフード、ファミリーレストラン、着物の販売、チラシ配り、工場など様々な仕事をしていました。

—ナカムラ綜美に入社される前に色々なお仕事を経験されていますが、仕事に就いてみて違うと思ったら変えていくということは大切だと思いますか?
すごく大切だと思います。一つのことを長く続けることも大事ですが、やはり経験しないとその仕事がどういうものかはわからないです。一度思い立ったら行動に移した方が絶対にいいと思います。
私は行動に移したことでナカムラ綜美の仕事に出会い、今も長く続けることができています。あの時勇気を出して良かったです。

画像1ナカムラ綜美.jpg

作業中の伊藤さん。アクリルパイプに電飾のコード逃がしの穴を切り込んでいるところ。

現在の仕事内容について

ー今はどのような仕事を担当していらっしゃいますか?
今は主にセットの床を装飾する仕事をしています。例えば担当番組の『呼び出し先生タナカ』のセットでは、白い床にカッティングシートを貼って柄付きの床を作っています。床を装飾する作業は、デザイナーさんと打ち合わせを行い、セットの組み立てを行う前の段階で完成します。その後は大道具さん、カメラさん、照明さんの作業に合わせて装飾を行います。例えば教室のセットなどでは天井にプラスチック段ボールという色付きのシートを貼り、照明さん が裏から光を当てると色付きのシートが照明に照らされて綺麗に見えるようにしています。

 
セット床の市松模様.png
セット床の市松模様



—一つの番組の中でも様々な仕事を行うのですね!
そうですね。一つの番組で受け持つ仕事はその都度変わります。 番組の立ち上げの際には、まず打ち合わせを行います。打ち合わせでディレクターなどから スタジオセットの要望を聞き取り、その要望通りのものを用意し、飾り付けをしてから本番のセッティング、放送終了後の片付け作業まで全て行います。これが毎日の仕事の大まかな流れです。

—現在伊藤さんはフジテレビの番組セットを担当されていらっしゃいますが、いくつかの 番組を同時進行で担当されたりはするのでしょうか。
一つの番組だけではなく、一週間のうちに二から三番組に関わっています。毎週行うレギュラー番組の他にも1年間の中で限られた時期に行う特番の番組を担当することもあります。

—複数の番組を同時に担当されているのですね!入社して何年目ごろからたくさんの仕事に携われるようになりましたか。
アルバイトは2011年に入って、正社員になったのが2020年なので、今は正社員2年です。アルバイトの際に担当者のサブに就かせてもらっていたことがあるので通常よりは 少し早い時期に様々な仕事に携わることができていると思います。

—アクリル装飾というお仕事ならではの制作物にはどのようなものがありますか。
(平山さん)アクリルを主に扱う会社なので、アクリル加工を行っています。今まで一番大きいもので直径1メートル、縦が2メートルの円柱の水槽を韓国に持ち込んでロケをしたこともあります。
皆さんが知っているものだとダチョウ倶楽部さんがコントで使用する水槽なども制作しました。

—アクリルは何種類くらいのものを使っていらっしゃいますか。
(平山さん)ただの透明なアクリルでも最低二種類はあります。同じ透明なアクリルも工程の違いで加工に向き不向きがあり、板状で使うものと、切って接着して形にしていくものとでは素材自体も変わってきます。
また、色付きのアクリルはメーカーによって何十種類も色 があります。導光板と言ってコバ口(端の部分)に光を当てると一面が光るようなアクリル もあり、フジテレビの『S-PARK』と言うスポーツ番組で使われています。各メーカーで色々なものを出されているので私たちも知識が追いつかないですね。私たちはアクリルの専門家なのですが、次々と生産されていく新しいアクリル素材の多さに驚くこともあります。

クリスマスイベントで制作された虹色アクリル板.png

クリスマスイベントで制作された虹色アクリル板
透明アクリルをカットし、オーロラシートを張り込み鉄骨に貼り付けられている



仕事を真剣にやることで良い関係を築く

—今までで一番印象に残っているお仕事についてお聞かせください。
一番印象に残っている仕事は『FNS歌謡祭』でセットを一から組み立てた時のことです。 ナカムラ綜美でアルバイトとして働いていた際に、社員の方が担当する番組のサブに就かせてもらったのが『FNS歌謡祭』の仕事でした。生放送なので何日も前から設営して、本番に向けてリハーサルをしました。床の柄をCMの間に飾り変える作業をやり遂げた時は 今までで経験した事のない達成感がありました。本番中は決められた時間の中で作業をす るのですが、当然ナカムラ綜美の人だけではなく、大道具さんや照明さんなど多くの人が関わってきます。大勢で作り上げる一つの番組は今までで一番やれて良かった仕事だと思いました。毎年同じ番組を担当できるわけでは無いので、偶然そのタイミングで『FNS歌謡祭』に携われた事は本当に一生残る思い出です。

フジテレビ『F N S 歌謡祭』の床セット敷き込み作業の様子。

—大勢で一つの番組を作り上げるとのことでしたが、多くの人と仕事をする際に大変なことはありますか?
やはり、大勢で協力して1つの番組を完成させるのでコミュニケーションをとることは大変です。私はあまりコミュニケーションをとることが得意ではないのですが、裏方のスタッフは皆さん優しく、スタッフ同士が「良いものを作りたい」という同じ気持ちを持って仕事 に臨んでいるので頑張ることができています。

大道具さんが組み上げたステージに床材を張り込んでいる様子。

—コミュニケーションをとることが私も苦手なのですが、伊藤さんはどのようにして苦手を克服しましたか。
私自身もいまだに課題ですが、仕事を真剣に頑張ることで自然にコミュニケーションを取 れるようになると思っています。
見てくれている人は必ずいるので、最初は難しくても仕事に真剣に取り組んでいれば、自ずとよい関係が築けると思います。


仕事を一緒にして良かったなと思ってもらえる人になりたい

—仕事をしていて一番大変だと感じることはどの様なことですか?
汲み取る力が必要なことです。
例えばデザイナーさんから依頼を受けたときに、自分がどの程度依頼に応えられるかを考えて制作する時に汲み取る力が必要になってきます。もちろん、デザイナーさんの要望に120パーセントで応えたいけれど、今の自分の力では120%で応えられないということもあります。また、より良くしていくためにクライアントに提案をする力を身に着けることも大変だと感じています。

—現在の仕事は誰にどのような価値を与えているとお考えでしょうか。
見ている人に楽しいと思ってもらえることだと思います。出演者の人からもセットを見てすごいと感想を言ってもらえると、夜中まで頑張って良かったなと思います。実際に完成し たセットを生で見ていると、テレビで見ているのと同じように見えないんですよ。非日常を作り上げている感覚で、絶対に誰かが見てくれていると思いながら仕事に取り組んでいます。

—今後のキャリアについて考えていることを教えて下さい。
ナカムラ綜美でのアルバイト歴は長いですが、正社員になったのは最近でまだ駆け出しな ので、ナカムラ綜美と仕事をして良かったなとクライアントや先方の方に思ってもらえるようになりたいです。あとは伊藤とやって良かったありがとうと何回でも言ってもらえる ようになりたいです(笑)。そして更に勉強して様々な作業に携わり、出来ることの幅を広げていきたいと思います。

興味のあることは片っ端からやってみる

—最後に学生へ向けて一言お願いします。

先ほどもお話しさせていただきましたが、興味のあることは片っ端からやってみた方が良いと思います。実際に取り組んでみて違うなと思ったら、積極的に行動を移した方がいいです。ただし「すぐに辞めて次」を繰り返すのではなくて続けることにも意味があると思います。私はナカムラ綜美でアルバイトから正社員になった経験を得て、続けるとは良いことだと感じています。そのうち自分がやっていて良かったなと思うことあると思うので興味のあることは自分に合っていないかもしれないと思っても、できるうちにどんどんチャレンジして体験していくといいと思います。

インタビュー後記

インタビューの中で、伊藤さんの興味を持ってから行動に移すまでの行動力に驚きました。 良いものを作りたいという気持ちと、それを実現させる技術によって、煌びやかなテレビの美術セットが作られているのだと思いました。また、伊藤さんの実経験に基づくお話から、 様々な仕事を経験した結果、自分が生き生きと働くことのできる仕事を見つけることもで きるのではないかと思えるようになり、就職活動に対する不安が少し和らぎました。 伊藤さん、平山さん、私の質問に拙い点も多々あったと思いますが一つ一つ真剣に答えてい ただきありがとうございました。
(インタビューアー:大学3年生 千葉彩月)

 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

講座への参加・お問い合わせはこちらから

講座へのご参加はこちら

参加申込はこちら(無料)

お気軽にご連絡ください

お問い合わせはこちら